本日はインドネシアの会計制度および監査制度について解説していこうと思います。
日本本社経理ご担当者様や日本本社監査人より質問されるケースもあるかと思いますので、よろしければご確認ください。
以下の様な人におすすめ!
・インドネシアに赴任されて間もない方
・日本本社への説明が難しい方
✔️本記事の信頼性(筆者紹介)
- 田島 寛之 Hiroyuki Tajima
- 日本国公認会計士 Certified Public Accountant (公認会計士協会登録番号:37299)
- 国際税務コンサルティング経験豊富(2018年より2年間タイ、2020年より3年間インドネシア)
- インドネシア税務資格Brevet AB保有
- インドネシア現地コンサル会社複数社の顧問会計士を務める
- Universitas Lampungにて非常勤講師を務める
インドネシアの会計制度
インドネシアではPSAKというインドネシア独自の会計基準を採用しております。ただ、インドネシア独自の会計基準とは言ってもIFRSへのコンバージェンスを行っている為ほぼIFRSと差異のない会計基準となっております。IFRSとの差異を挙げると、土地の取り扱いや、あとはIFRSにおける新基準のインドネシアにおける適用にタイムラグがあるなどの差異が生じております。土地に関してはインドネシアにおいては土地使用権という形で日本で言う借地権の様な契約となりますが、PSAKに従うと土地として償却を行わないこととなります。一方、IFRSに従う場合、借地権として償却するという処理があるべきと考えられます。
駐在員の皆様が日本本社や日本監査人からインドネシアの会計基準について聞かれた際には、「インドネシア独自の会計基準だが、ほぼIFRSと差異はない」と回答いただき、具体的な差異についてはご利用の会計税務コンサル会社より回答して貰えば良いと思います。
作成が要求される財務諸表は以下となります。
- 財政状態計算書
- 包括利益計算書
- キャッシュフロー計算書
- 所有者持分変動計算書
- 注記
インドネシアの監査制度
次にインドネシアの監査制度についてみていきます。
インドネシアにおける監査基準及び監査関連基準は国際監査基準ISA及びIFACが公表している監査関連基準を基に作成されており、基本的には監査において日本との違いは無いと言えます。違いを挙げるとすれば、JSOX、つまり内部統制報告書に対する監査が無いという点です。親会社の連結上、インドネシア在外子会社へのJSOX対応が必要になった際に、現地法人に理解を得ることにある程度ハードルはあると感じております。また、外資企業は公開非公開問わず全社が会計監査を受ける義務があります。ここでインドネシアにおける外資企業とは、外資が1%でも入っていれば外資企業と見做されます。
監査基準設定主体:インドネシア勅許会計士協会(IAI)、インドネシア公認会計士協会(IAPI)
※IAIは国際会計士連盟(IFAC)、国際会計基準審議会(IASB)、アセアン会計士連盟(AFA)の会員
監査資格:IAPIに登録されている公認会計士(1,500人程度しかいない)
監査対象会社:全ての公開会社、全ての外資企業
※外資企業には上場・非上場問わず会計監査が義務付けられている。(1%でも外資が入っていれば「外資企業」となる。)
監査頻度: 年1回(期末)
監査意見の種類につきましても日本と同様、下記4種類の意見から構成されております。日本と同様、ほとんどのケースは無限定適正意見(Unqualified Opinion)となります。
監査意見の種類
- 無限定適正意見(Unqualified Opinion)
- 限定付適正意見(Qualified Opinion)
- 不適正意見(Adverse Opinion)
- 意見差し控え(Disclaimer of opinion)
「Unqualified」というワードから、何か問題があったのでは?と心配される方もいらっしゃいますが、この「Unqualified Opinion」が最も良い監査意見となります。「Qualified」には「限定」と言った意味もあり、「Unqualified Opinion」で無限定適正意見となるんですね。
まとめ
本日は、インドネシアにおける会計制度および監査制度について解説をさせて頂きました。基本的にはご利用の会計コンサル会社および監査法人に任せる部分になりますが、日本本社からの質問等に回答ができるようご理解をいただければと思い記事を作成させて頂きました。ご不明点等ございましたらお気軽に「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。
最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。