本日はPPh26について解説をしたいと思います。
PPh26は適切な申請により大きく減税措置をとることができるケースが多いですので、ぜひ当記事にて抑えていただけますと幸いでございます。
以下の様な人におすすめ!
・インドネシア税務に詳しくなりたい方
・インドネシアに赴任されて間もない方
✔️本記事の信頼性(筆者紹介)
- 田島 寛之 Hiroyuki Tajima
- 日本国公認会計士 Certified Public Accountant (公認会計士協会登録番号:37299)
- 国際税務コンサルティング経験豊富(2018年より2年間タイ、2020年より3年間インドネシア)
- インドネシア税務資格Brevet AB保有
- インドネシア現地コンサル会社複数社の顧問会計士を務める
- Universitas Lampungにて非常勤講師を務める
PPh26 国外居住者への送金にかかる源泉税とは?
インドネシアから国外居住者へ送金する際にはPPh26という源泉税が生じることになります。例えば、日本法人からインドネシア法人がサービスを受け、対価を支払う際にPPh26が発生いたします。と言っても国外への送金が全て対象となるわけではなく、対象となる主な取引は以下のとおりとなります。
国外居住者からサービス提供を受けた際の対価の送金
国外居住者へのロイヤリティの送金
国外居住者からの借入金に対する利息の送金
国外居住者である株主に対する配当金の送金
対象となる国外居住者は法人も個人もいずれも該当いたします。
PPh26の税率
PPh26の税率は20%でございます。例えばインドネシア法人が国外法人から100jutaのサービスの提供を受けた場合、80jutaを国外法人へ送金し、20%のPPh26をインドネシア税務署に納税することになります。基本はこのように20%のPPh26が課せられるのですが、租税条約を適用することにより税率を低減できるケースが多いです。
租税条約は2国間で結ばれている租税に関する条約であり、インドネシアとどの国の間の取引かによって条約内容が変わってまいります。
日本とインドネシア間の租税条約(日イ租税条約)について以下解説をさせて頂きます。
日イ租税条約適用による減税(免税)
日本とインドネシアは租税条約を締結しておりまして、当該租税条約を適用することによりPPh26の税率20%を低減させることができます。
具体的には以下のとおりとなります。
国外居住者からサービス提供を受けた際の対価の送金:20% → 0%
国外居住者へのロイヤリティの送金:20% → 10%
国外居住者からの借入金に対する利息の送金:20% → 10%
国外居住者である株主に対する配当金の送金
持分比率が25%以上の株主への配当:20% → 10%
持分比率が25%未満の株主への配当:20% → 15%
対象取引が全ての会社で一般的に生じうる取引ですので、租税条約適用をするケースはよくあります。
日イ租税条約の適用にあたり必要な手続き
日イ租税条約を適用することによりPPh26を大幅に減免できるため是非適用したいところですが、適切な手続きを経なければ適用することができません。国外居住者が日本居住者であることを証明することが必要であり、居住者証明(DGTフォーム)を所轄の税務署(日本)から入手する必要があります。その上で、当該居住者証明(DGTフォーム)のPDFをインドネシア税務署に提出することにより租税条約の適用が可能となります。
※日本の国税庁HPに居住者証明の取得方法の説明がございます。まれに、将来期間の証明はできないと税務署より指摘されるケースがありますが、リンク先に将来期間の証明も「宣誓書」を提出することにより可能となると規定されておりますため、上記リンクを税務署担当に提示すればご理解いただけるかと思います。
※DGTフォームのフォーマット自体はインドネシア税務署指定のフォーマットですので、現法でご利用のコンサル会社等より入手頂きご準備いただければと存じます。
将来の期間12ヶ月分を取得可能ですので、HPの説明に従い早めに入手するようお勧めいたします。
最大12ヶ月分の取得となりますため、租税条約を毎年適用したい場合は毎年DGTフォームを取得する必要があります。
まとめ
本日はPPh26について解説をさせて頂きました。租税条約を適用するか否かで大きく納税額に影響が出るケースの多い税金ですので、ぜひしっかりご理解頂いた上でご対応をいただけますと幸いでございます。ご不明点等ございましたら「お問合せフォーム」よりお気軽にご連絡頂けますと幸いでございます。
最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。