今回の税金は法人税でも個人所得税でも発生可能性のある税金です。いわゆる外国税額控除のことになります。国際税務に日常的に携わっている方にはこれでイメージ湧くかもしれませんが、そうでない方も多いはずですのでしっかり解説していきます!
ちなみに外国税額控除の控除可能枠の計算部分でインドネシア特有の計算方法などございますため、国際税務にお詳しい方も是非ご覧いただけますと幸いです。
以下の様な人におすすめ!
・インドネシアの会計税務を基礎から学びたい方
・インドネシアに赴任されて間もない方
・ローカル経理スタッフとのコミュニケーションに不安がある方
・インドネシアにおける外国税額控除枠の計算方法を知りたい方
✔️本記事の信頼性(筆者紹介)
- 田島 寛之 Hiroyuki Tajima
- 日本国公認会計士 Certified Public Accountant (公認会計士協会登録番号:37299)
- 国際税務コンサルティング経験豊富(2018年より2年間タイ、2020年より3年間インドネシア)
- インドネシア税務資格Brevet AB保有
- インドネシア現地コンサル会社複数社の顧問会計士を務める
- Universitas Lampungにて非常勤講師を務める
PPh24 海外所得(インドネシア国外)に対する所得税とは?
PPh24海外所得に対する所得税とは、インドネシア国内居住者がインドネシア国外所得に対し当該国外で納税した税金を言います。
インドネシアに住んでいる皆様やインドネシア法人が、日本などインドネシア国外で所得が発生して現地で納税した場合ですね。
国外で生じた所得についてもインドネシアの所得税計算上、所得として認識して所得税が計算されます。このままだと国外で納税済みにもかかわらず、インドネシアでも納税が必要になり2重課税となってしまいます。そのための税制がPPh24で、日本語で言うと外国税額控除という制度になります。国外所得についてインドネシアの所得税計算上、所得として計算に含める一方、その結果計算された所得税から国外で既に納税済みの分を控除するという仕組みです。
数値を用いて説明すると、
日本で100の所得が発生して20日本で源泉徴収されたとします。
一方、インドネシアでも当該100を所得として認識し所得税計算いたします。その結果、仮に30の所得税だったとします。
そうすると本来30の納税でOKのはずが、50(=20+30)納税することになり20が2重課税となってしまっております。
この2重課税を回避するために外国税額控除PPh24にて「20は日本で納税したからインドネシアでは納税しないことを認めてください」と申請するんですね。
外国税額控除可能額の計算方法
基本的な考え方は上記の通りなのですが、国外で納税した全額がインドネシアで控除可能かというと必ずしもそういうわけでもありません。外国税額控除可能額というものがあり、以下の計算方法により算出された金額を超えて控除することはできません。
計算式は個人も法人も上記の通りなのですが、これじゃ何のことやらわかりませんよね。
しっかり数値を用いて解説いたしますのでご安心ください!
計算例 (法人のケース)
このケースで国外で20%つまり40juta源泉徴収されているとすると、控除可能額の範囲内なので全額40jutaを法人税額154jutaから控除可能となり、結果未払法人税は114jutaとなります。
もし、仮に国外で25%つまり50juta源泉徴収されているとすると、控除可能額の範囲を超えてしまっているため、限度額の44jutaを法人税額154jutaから控除可能となり、結果未払法人税は110jutaとなります。
計算例(個人のケース)
考え方は法人の場合と同様です。
まとめ
本日はPPh24海外所得(インドネシア国外)に対する所得税について解説をさせていただきました。今後もインドネシアの税務について解説していきますので引き続きよろしくお願いいたします。ご不明点等ございましたらお気軽に「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。