本日はインドネシアにおけるビジネスリスクについて解説していこうと思います。
日本の常識が通用しないのが海外ビジネスですが、特にインドネシアは気をつけた方が良いですので是非当記事にてビジネスリスクを理解した上で活動していただけますと幸いでございます。
以下の様な人におすすめ!
・インドネシアに赴任されて間もない方
・インドネシア進出を検討されている方
✔️本記事の信頼性(筆者紹介)
- 田島 寛之 Hiroyuki Tajima
- 日本国公認会計士 Certified Public Accountant (公認会計士協会登録番号:37299)
- 国際税務コンサルティング経験豊富(2018年より2年間タイ、2020年より3年間インドネシア)
- インドネシア税務資格Brevet AB保有
- インドネシア現地コンサル会社複数社の顧問会計士を務める
- Universitas Lampungにて非常勤講師を務める
厳しい外資規制(最低資本金、外資比率規制 etc)
まず外資規制が非常に厳しいです。例えば最低資本金ですがこれまで最低払込資本は25億ルピアとされておりました。しかし、2021年6月より100億ルピアに変更されております。その他、ビジネス内容によって外資持分比率の要件やライセンスが必要になったりなど、非常に細かく規定されております。
外資規制が強いにも関わらず2,000社強の日系企業が進出しているというのは、やはりインドネシアに魅力があると言えるでしょう。
コロナ禍で周辺国の日系企業の撤退が相次ぐ中、インドネシアは他の周辺国に比べて撤退が少ない印象でした。外資規制が強い故に進出している企業は体力のある企業が多いため、生き残れているという状況かと思います。
頻繁に変わる制度及び設定される制度が不明瞭
例えば先ほどの最低資本金がこれまで最低払込資本は25億ルピアとされていたところ急に100億ルピアに変更されるなど、急に最低払込資本が4倍になるなんて日本では考えられないですが、インドネシアではこの様な規定改正は日常茶飯事です。また業種によって外資比率の規制があり、この規制もコロコロと変わります。 そのため進出時のみならず増資等で持ち分比率が変わる際なども注意が必要でございます。
コロナウイルスによる税制優遇措置で2022年度より法人税率は20%に低減される予定となっておりましたが、後に撤回され22%で運用されました。公表された情報が撤回されることも多く、タイムリーな情報収集が非常に重要となります。
労働者有利な労働法(最低給与増加率、高額な退職金)
雇用面でもインドネシアは非常にリスクが高い国であると言えます。首都ジャカルタの最低賃金は日本円で4万円ほどではありますが、賃金上昇率はコロナ前まで毎年8%前後と高い水準であり、また従業員に非常に有利な労働法により解雇が困難です。退職金についても高額になる設定がなされており、 さすがに厳し過ぎるという事で2020年に施行されましたオムニバス法により若干会社に有利な方向に調整がなされましたが、依然雇用面でのリスクは高い状況です。
正社員として雇用することに対するリスクは高いため、慎重に検討すべきであると個人的には考えます。
税務リスク(源泉税が多く還付ポジションになりやすい、厳しい税務調査 etc)
また、最もリスクとして挙げられる頻度が多いのは税務リスクとなります。東南アジアは総じて税務リスクが高めとなりますが、インドネシアはその中でも特に税務リスクが高いと感じております。源泉税の発生する取引が多いという点が一つ税務リスクを上げている要因となります。法人税の還付申請をするとほぼ100%税務調査が実施されますので、還付ポジションにどうしてもなりやすい環境であることはつまり税務調査の頻度が多くなるという事になります。また、税務調査自体も厳しいもので、一筋縄ではいかない状況です。インドネシアは人口数が圧倒的であり表面上の人件費の安さなどから一見魅力的にうつりますがさまざまなトラップがひそんでます。規定が急にコロコロ変わるという点もやはり困った点で、タイムリーな情報のキャッチアップが非常に重要となって参ります。
タイで会計税務コンサルをやっていた際にも日本と比べて税務リスクが高いと感じましたが、インドネシアはそれ以上でした。。。
まとめ
本日はインドネシアでビジネスをしていく上で把握しておく必要のあるリスクについて解説をさせて頂きました。これらビジネスリスクの中でも最もインドネシアで高リスクと考えられる税務について当該サイトの記事にて深堀解説していきたいと思います。ご不明点等ございましたらお気軽に「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。
最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。